HIStory

1995年発表のアルバムHISTORY」

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周知のとおりこのアルバムは「HISTORY」=歴史という意味であるだけでなく、マイケルが「HIS」を斜体にしていることから「HIS=彼の」「STORY=物語」の造語である、ということが示されています。つまりこのアルバムは、初めてマイケルが自身の心を描きだしたアルバムです。

そのタイトル曲であるHIStory」は、きっとただならぬ曲に違いない・・・・・・。
待ちに待ったアルバムを手にした私は、アルバムジャケットの中で仁王立ちするマイケルの彫像を見て、そう思ったのを今でも覚えています。
前作「DANGEROUS」のジャケットでは、マイケルは自らの世界感に包まれた絵の中で両目だけを出し、まるで隠れているかのようでした。それが今度は存在を誇示するように、赤く燃える空の下で仁王立ちしているのです。

当時の私は、この曲をほとんど理解出来ていませんでした。曲中にあれこれ挿入される英語の音声の意味が解らなかったこともありますし、コロコロと変わる曲調が肌に馴染まず、ただブックレットの和訳を見て「平和を訴える曲なんだろうな」という程度の理解しかしていなかったのです。
何よりも、アルバムの他の曲のダークなイメージにショックを受け、この曲のインパクトが当時は少なかったというのが正直なところです。「マイケルが壊れてしまった」と、高校生だった私は心配で仕方がなかったのです。


HIStory」は、マイケル・ジャクソンらしさに溢れた素晴らしい曲です。
しかし、この曲は数あるマイケル・ジャクソンの音楽の中でも、特別に難解な作りになっています。おそらく、マイケルはいつもとは少し違うプロセスを経て曲を制作したのだと思いますが、相当の労力をかけたと思われるこの「HIStory」を解体するのは一苦労です。その為、頭の片隅で「いつか書こう」と思っていても、いつも尻込みしてしまいました。

HIStory」は、歴史的出来事を伝えるナレーションや偉人が残した肉声などが随所に挿入され、時間を巻き戻し回想するシーンを挟み込みつつ、並行して今後の世界について歌っていくという、非常にユニークな作りになっています。
その為、どこかリミックスを聴いているよう雰囲気がありますが、実はそれが重要なポイントになっています。

ブックレットの和訳は挿入される個々の言葉までカバーされていませんから、かつての私のように、もどかしい思いをしながらも何となくのイメージで聴いている方も多いのではないかと想像しています。

今日は私が聞こえる範囲で、曲の進行に沿って一つずつ解体し細かく和訳と解釈を紹介しながら、進めていきたいと思います。今は、少しは英語がわかるようになったんですね(笑)
よって今日は恐らく今までで一番長~~い記事になりますが、いつものようには分けずに一気にいきますので、心の広い方は是非一緒に「HIStory」を聴きながら、最後までお付き合いください。


・・・・・・さていきなりですが、この曲には2バージョンあるのをご存知でしょうか?

アルバム「HISTORY」をお持ちの方は、ブックレット最後のP50を見ていただければと思いますが、そこにはこの記載があります。

`HIStory contains a sample from "Pictures At An Exhibition"
Performed by The Philadelphia Orchestra, conducted by Eugene Ormandy.
Composed Modeste Mussorgsky, arranged by Maurice Ravel'

「'HIStory'はユージン・オーマンディ指揮のフィラデルフィア・オーケストラの演奏による‘展覧会の絵’が引用されている。作曲はモデスト・ムソルグスキー、編曲はモーリス・ラヴェルである。」

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ムソルグスキー

この「展覧会の絵」がどこに引用されているかというと、「HIStory」冒頭17秒間ほどのオーケストラですね。

しかし結論からいうと、これが実際に引用されているのは初版の出荷分だけで、それ以降の分に関してはマイケルが自身のオリジナルに編曲して最収録され、差し替えられています。

ですから1995年当時、アルバム発売後すぐに「HIStory」を手に入れた昔からのファンの方は、初版の「展覧会の絵」引用バージョンを持っている可能性があります。

私が最初に購入したものも初版分ですが、年季が入ってしまって数年前に新調したので、新旧両方が手にあります。上のクレジットは、後から買った方にも排除されることなく、そのまま残っています。

なぜマイケルが急いで編曲を行う必要があったのかは調べていませんが、楽曲の権利の関係で何かクレームでも付いたのでしょう。(「HIStory」ツアーでは、マイケルはシカトして「展覧会の絵」バージョンを使っちゃってました。どうしてもこっちが良かったんでしょうか・・・・・笑)
個人的には、マイケルの編曲バージョンの方が好きですが。

初版からの変更点を比べてみると、オーケストラが編曲されている、この部分の秒数が17秒から20秒に若干伸びている、そして鐘の音がすでにこの部分から挿入されている、の3点です。

しかしオーケストラの編集って、そんな簡単にちょいちょいと出来るものなんですかね?改めてこの人の才能にびっくりさせられますが・・・・・。

ところで、なぜマイケルがクラシックの名曲「展覧会の絵」を引用しようと思ったのか?というのが重要な部分ですが、これには大きな意味があったようです。

この「展覧会の絵」という組曲は、ムソルグスキーが画家である友人の遺作展を訪れ、そこで観た10枚の風景画の印象を音楽に表現したものです。もともとはピアノ曲なのですが、のちに様々な音楽家によって編曲されています。
マイケルが引用したのはモーリス・ラヴェル版で、この組曲の中の`The Great Date Of Kiev'「キエフの大門」冒頭部になります。

(ちなみに、この「キエフの大門」は日本のバラエティー番組で別の一部が使われています。そのため私たちがここを聴くとちょっと笑ってしまいがちですが、使い方でいろいろ変わるものですね・・・・・)




「キエフの大門」は「展覧会の絵」のフィナーレを飾る曲であり、‘亡き友人へのレクイエム’だとされています。

友人を失った悲しみに暮れながらも、その人生を祝福し、大きな門をくぐり天国へと旅立っていく友人を壮大に見送る。

こういったムソルグスキーの心情が表現されている、と言われています。

HIStory」のエンディングでは、再びこの冒頭部分のオーケストラを引き継いでいるような壮大な盛り上がりを見せていますね。もしかすると、構造的にこの「キエフの大門」をモチーフとして「HIStory」という曲を構築したのかもしれません。

HIStory」の大きな特徴は、歴史上の偉人、またはマイケルが尊敬する人物の名や肉声が多く登場することですが、この「キエフの大門」を書いたムソルグスキーと同じように、マイケルもまた、この人物たちへの尊敬と祝福の念を抱いている、ということをこの「キエフの大門」の引用が示しているようです。(マイケルの曲に登場する人のなかには存命の方もいます。念のため。)

HIStory」はヒップホップやバラード、マーチングなど様々な要素が含まれますが、エンディングではいつのまにか壮大な一体感に包まれ、リスナーはそこに引き込まれていきますよね。
これは、このオーケストラを巧みに利用したテクニックの成せる業なのだと思います。

「Will You Be There」との類似点を感じますね。「DANGEROUS」から「HISTORY」期にかけてのマイケルが、一つの試みとして‘表面的にも内面的にも、クラシックと自分の音楽を融合させる’というテーマを自身の中で掲げていた、ということが言えるのではないかと思います。

さて、オーケストラの演奏が終わった後、日付のナレーションが二つ入ります。(※初版CDでは、全て3秒ほどズレがあります)

0:26 `Monday March 26th, 1827'(1827年3月26日、月曜日)

0:30 `November 28th, 1929'(1929年11月28日)

曲の後半でも歴史的出来事を伝えるナレーションが入り乱れるのですが、なぜかこのイントロの2つはとても目立つのに日付のナレーションだけで、肝心の出来事の内容が伝えられていません。意味深ですね。

調べてみると、前者はベートーヴェンが亡くなった日、後者はモータウン創設者ベリー・ゴーディの誕生日です。モータウンとはもちろん、マイケルがジャクソン5時代に所属したレコード会社で、ベリー・ゴーディは幼いマイケル・ジャクソンの才能を見出し、デビューさせた恩師です。

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ベリー・ゴーディ

しかし違和感ありますね。「なぜベートーヴェンとベリー・ゴーディなのか!?」と多くの人は思うはずです。私も思いました。

ここで、再びブックレットP.50に戻ります。

`HIStory includes a sample of "Beethoven Lives Upstairs."
Courtesy of Susan Hammond's Classical Kids/The Children's Group,Inc'

「'HIStory'には '僕の家のベートーヴェン' がサンプリングされている」


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ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン


日本語サイトでは`Beethoven Lives Upstairs'「僕の家のベートーヴェン」という映画に関してあまり情報がありません。日本のファンの方はどのくらい、ここからの引用について理解されているのでしょうか?
「僕の家のベートーヴェン」とは、1992年に子供の音楽教育用の教材としてカナダで制作された映画で、バッハとかモーツァルトとかいろいろとあるシリーズものの一つなんだそうです。

You TubeにUPされていたので、どこが引用部分なのか探ろうと軽い気持ちで観てみたのですが・・・・・、これが子供用と侮るなかれ。しっかりした映画作品になっていて、ベートーヴェンの挿入曲も美しいし脚本も役者も良くて、思いがけず感動してしまいました。

この物語の主人公は、父を亡くしたクリストファー少年です。
父の死後間もなく上の階に下宿してきた難聴の音楽家ベートーヴェンは、昼夜を問わず音を立て、奇声を上げる変わり者。
クリストファー少年は友人にからかわれ、父を亡くした寂しさも相まって、どうにか追い出してほしいと叔父に訴えます。でも叔父はそんなクリストファーに語りかけます。
「彼の頭の中はいつも音楽でいっぱいなんだよ。その音楽を、いつか私たちが分かち合える日が来るんだ。」
「ベートーヴェンは、自分の音楽が世界を変えると考えているんだよ。」


「あんなの、音楽じゃないよ!!!」クリストファー少年は叔父の言うことが理解できず、反発します。
ところがベートーヴェンと言葉を交わすうちに、クリストファー少年は次第に彼の内面を理解し、その音楽に惹かれていくのです。
その時ベートーヴェンは最後の交響曲、第9番を作曲中でした。(交響曲第9番は、「Will You Be There」で引用された楽曲です)

クリストファー少年の豊かな心の動きと、音楽を愛する喜びというものが、50分という短い時間でとてもよく描かれています。マイケルもきっと、この映画に好感を持ったのでしょう。

肝心の引用部分ですが、2回観て必死に探した結果、何とそれは映画の冒頭部分でした。しかも始まって1秒で聞こえる「ゴーン、ゴーン、ゴーン」という教会の鐘の音・・・・・・。
これが「HIStory」の冒頭から聞こえる鐘の音にソックリでした・・・・。

さらに、この鐘の音が鳴り終わった後、主人公のクリストファー少年の一番最初のセリフです。

「1827年3月26日、月曜日。歴史に刻まれる日だ。
僕の叔父は言った、‘歴史なんてどうでもいい。確かなのは、世界はベートーヴェンを失ったということだ’」



そう、 `Monday March 26th, 1827'(1827年3月26日、月曜日)

街に響き渡る教会の鐘の音、そして冒頭のセリフ。ここまでのシーンをサンプリングしている、ということなんですね。

そういえば「HIStory」全体でも、日付に曜日まで入っているのはこのベートーヴェン没日の`Monday'「月曜日」だけではないですか?ナレーションの声はクリストファー少年ではなく大人の声に差し替えられていますが、それでも元のセリフに忠実に`Monday'「月曜日」と喋っています。あえて、このままにしたのでしょう。

マイケルが児童教育学の勉強をしていたというのは知っていましたが、まさかこんな映画もチェックしていたとは、驚きです。
それにしても・・・この素材がどういう経緯を経て「HIStory」に組み込まれたのか?天才の頭脳というのはやはり解読不能です・・・。

是非、You Tubeで冒頭部分だけでも観てみてください。(ちなみに日本語字幕版はないと思いますが、子供向けなだけあって聞き取りやすいです)

でもなぜマイケルはベートーヴェンの「誕生日」ではなく、「亡くなった日」をイントロに選んだのでしょうか?しかもバックに流れる音楽は、壮大な ‘亡き友人へのレクイエム’ です。そして、ベリー・ゴーディの誕生・・・・。

私はここに、クラシック音楽と現代の大衆音楽を関連付けようとしているマイケルの強い意志を感じます。

ベートーヴェンといえば、世界の音楽史を語る上での最重要人物ですよね。音楽の授業で、誰しもが最初に覚える作曲家です。
ベートーヴェン以前の音楽家は、宮廷や有力貴族に仕え、彼らの公式・私的行事のために作曲するのが常だったのに対し、ベートーヴェンはそうした音楽活動を拒否し、大衆に向けた作品発表を行う音楽家の先駆けとなった事でも知られています。
それが、先ほどのクリストファー少年の叔父のセリフでも表現されています。さすが、音楽教材ですね。

一方ベリー・ゴーディの功績ですが、小さなインディーズ・レーベルを全米一位を連発させるアーティストを輩出する全米一のブラック・レーベルにまで成長させた、アメリカン・ドリームの体現者です。

黒人差別が根強く残り、キング牧師などの公民権運動に揺れていた1960年代において、ベリー・ゴーディの音楽界における黒人ミュージシャンへの貢献度というのは、図りしれないものがあります。
マイケル・ジャクソンがいなければ、黒人音楽が今のように世界中で揺るぎない地位を築けたかというのは疑問ですが、そもそもその場所へ導いたベリー・ゴーディの存在がなければ、マイケルはその才能を発揮するチャンスすら得られなかったかもしれません。
マイケルは生前「彼がいなかったら、音楽は現在の姿にはなっていなかった」と言って彼を称えることを惜しまなかったのですが、その言葉の奥には黒人の苦難の歴史が刻まれていたように思います。

「ベートーヴェンは死んでしまった。でも僕は思う。彼の‘音楽’は、これからも決して死ぬことはないんだ!!」

クリストファー少年のラスト・シーンでのセリフです。

ベートーヴェンの死。そしてベリー・ゴーディの誕生。

‘時代は移り変わるが、音楽の栄光の歴史「HIStory」は僕たちが引き継ぎ、これからも続いていく’

二つの日付はこの言葉を暗示している、ということなのだと私は解釈しています。
そして人類が辿ってきた長い音楽史の中で、黒人音楽の歴史的 ‘勝利’ について語ることは、マイケル・ジャクソンにのみ与えられた特権であり、誇りだったのでしょう。そして、しかも日付だけ入れてリスナーに答えを促しているわけですから、戦術家というか、マイケルらしいですね。

また、よくよく聴き進めるとわかりますが、このイントロの部分は同時に「問題提起」の役割も果たしています。

「音楽の世界に関しては、このとおりだ。じゃあ、外の世界はどうなんだ???」


その直後、マイケル坊や(12歳)が喋ります。

0:35 `Whatever I sing, that's what I really mean.
I'm gonna keep singing this song. I don't sing it if I don't mean it. '

「歌ってることは全部、僕が思ってることだよ。僕はずっと歌い続けるけど・・・・・心から思っていないことは歌わないよ。」


ちゃっかり自分も入れちゃうところが可愛いですが(笑)、この肉声を選んだ理由は、おそらく「これから歌うことは、僕が心の底から訴えたいことなんだ」という想いをかつての自分に託しているという、隠れた狙いがあるように私には思います。その為に、早々にイントロに組み込んだのでしょう。
昔は極度の引っ込み思案だったというマイケルらしく、ボソボソとした独特の雰囲気のある語り口ですが、ここのシーンだけバックに流れるホーンの音もぐわぁ~~んと間延びした感じにしてあるのが、なんとも芸が細かくていいですね(笑)

0:48 `Remember, it will be for us, the children of today,
to make the world of tomorrow a better and happier place.'


いいですか、私たち、つまり今日を生きる子供たちの為なのです。明日の世界を、もっと良い、幸福な場所にすることは。

マイケル坊やの声の直後に聞こえるため、この声もマイケルだと誤解している方が多いですが、違います。声がマイケルより細いですし、アメリカ人のアクセントではありませんね。これが誰かというと、イギリスのエリザベス女王です。
これは有名な演説の一部分で、1940年の第二次世界大戦の最中に、当時14歳だったエリザベス女王が妹のマーガレット王女と共にBBCラジオを通じて初めて行った、疎開を強いられているイギリスの子供たちに向けた演説の肉声です。このクレジットも、P50にちゃんと載っていますね。(マイケルは、ジャクソン5時代にエリザベス女王に謁見しています。)

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1939年、祖母メアリー王太后、妹マーガレット王女とエリザベス王女

「より良い、幸福な明日の世界を作らなければならない。それが将来の子供たちのためなのだから。」

‘make the world of tomorrow a better and happier place’の部分は、「Heal The Wolrd」の歌詞とすごく似ていますね。


0:58 `He made it, Charles A. Lindbergh, first person to fly New York to Paris non-stop.
And that turned the page of history that will probably stand for long time.'

「ついにやりました。チャールズ・A・リンドバーグ、彼はニューヨーク~パリ間を無着陸飛行をした最初の人物です。
これは歴史を大きく塗り替え、今後簡単に破られることはないでしょう。」


1927年、アメリカ人チャールズ・A・リンドバーグの初の大西洋単独無着陸飛行の成功を伝えるニュースです。

・・・・・ここは、実は私が未だに自分の中で解決出来ていない部分です。
大事なイントロ、しかもマイケルが歌い出す直前のタイミングで、なぜあえてこのニュースなのだと思いますか?違和感ありませんか?エリザベス女王が、この曲のテーマになるような良いことを言った後です。ここにあえて挿入するニュースとは思えません。
しかも、バックに流れるのはアメリカの行進曲「星条旗よ、永遠なれ」のイントロです。

私はなんとなく、マイケルが「星条旗よ、永遠なれ」をポジティヴなイメージで使うことは無いような気がしました。しかも、「星条旗よ、永遠なれ」はちらっとイントロだけ聴かせて、すぐマイケルのラップに切り替わるのです。2番のラップ導入部も同じ構成ですよね?

そこで、このリンドバーグの無着陸飛行について少し調べてみました。
史上初の単独大西洋横断無着陸飛行を成功させたリンドバーグは、世界的な英雄となったそうですが、その後第二次大戦に反対し「孤立主義」を唱導したそうです。ところが、結局は国家のために陸軍のパイロットとして参戦することになった。
そして、戦場での目を覆うばかりの惨状を見聞して、自らの異常体験を冷静に日記の形で残し、著書『ザ・スピリット・オヴ・セントルイス号』(『翼よ、あれがパリの灯だ』)で、1954年にピューリッツアー賞を受賞しています。

これは私の推測ですが、リンドバーグと「星条旗よ、永遠なれ」の繋がりは、「国家」という波に流され戦争に取り込まれていく様を皮肉っている・・・・、とは考えられないでしょうか?アメリカ国民のマイケルがそんな思い切ったことをするのか、という疑問はありますが。でも、曲全体の構成を考えると、そうとしか思えないのです・・・・。


(ラップ)
He got kicked in the back
He say that he needed that
He hot willed in the face
Keep daring to motivate
He say one day you will see
His place in world history
He dares to be recognized
The fires deep in his eyes

背中を後ろから蹴飛ばされたが、
「それも俺には必要だった」と彼は言う。
その顔には熱い決意がみなぎり、
果敢に挑み続け、自らを鼓舞する。
男は言う。「いつかわかるだろう」
「俺の名が歴史に刻まれる時がくる」
認められるためならば、どんな危険も冒そう。
男の目は、炎に燃えていた。



さて時代は進み、マイケルが歌うのはヒップホップです。雰囲気ががらっと切り替わり、音量も上がりました。
まず、この「HIStory」の歌詞はほとんどが語尾を踏んでいるのにお気づきでしょうか?
「韻を踏む」(ライム)というのはラップのテクニックで、同じ「音」の繰り返しを入れることで、単調なメロディのラップにリズミカルな動きを付ける効果があります。例えば上のラップ部分は、2行ずつ同じ音で韻を踏んで〆ています。

(1行目/2行目) back / that・・・「ア」
(3行目/4行目) face / motivate・・・「エイ」
(5行目/6行目) see / history・・・「イー」
(7行目/8行目) recognized / eyes・・・「アイ」

マイケルはラップ以外のコーラス部分でも、韻を踏むことを意識して作詞したようですね。同じ音ごとにすべて色を付けていますので、参考にしていただければと思います。

このテクニックはすでに、アルバム「THRILLER」の「Wanna Be Startin' Somethin'」から使っていますよね。

このラップ・パートでは、自分を抑えつけようとするものに闘いを挑む男「He」(彼)の強靭な精神について歌っているようです。
最初の2行は印象的ですね。「屈辱的な体験でさえ、強くなるための糧になる」という意味でしょう。
この後聴き進めるとわかりますが、後で実際に肉声で登場する人物たちを称えている部分になります。


(メロディー1)
How many victims must there be
Slaughtered in vain across the land
And how many struggles must there be
Before we choose to live the prophet's plan 
Everybody sing....

一体どれだけの犠牲者が、 
この地で無駄に虐殺されなければならないのか?
そしてどれだけの苦闘が必要なのか?
僕たちが預言者の道を選び取るまでに。
皆よ、歌え。



ここは、ラップ部分を受けてのマイケル自身の感情を歌っています。彼らが奮闘する一方で、この地でどれだけの人が、むなしく虐殺されているか。
「自分たちはいつまでもがき苦しみ、闘い続けなければいけないのか?」
「預言者」は「予言者」とは違いますね。「神の意思を預かった者」という意味ですので、「正しい道を自分たち自身で選択しなければいけない」というメッセージです。

「struggle」という言葉はブックレットでは「抗争」となっていますが、「もがき、身もだえ、苦闘、奮闘」といった意味合いが強い言葉ですので、「苦闘」と訳しました。

(※例 struggle against racism「人種差別との戦い」 struggle against poverty「貧困との戦い」)


(コーラスA)
Every day create your history
Every path you take you're leaving your legacy
Every soldier dies in his glory
Every legend tells of conquest and liberty

日々の積み重ねが、君の歴史を作る。
どの道を進もうと、君はこの世に足跡を残していく。
どの闘士も、栄光のうちに死んでいく。
伝説はみな、征服と自由の歴史を今に伝える。



サビ部分です。
「soldier」という言葉ですが、ここでは「闘士」と訳しました。「戦士」でもいいかもしれません。
「soldier」は戦地に赴く「兵士、軍人」という意味もあり、また歌詞に「征服」「自由」という言葉が出てくるからか、ブックレットの和訳では「兵士」となっています。
しかし「soldier」には「主義・主張のために戦う闘士、戦士」という意味もあります。

この曲が‘戦争について語っている’という解釈もあるようですが、私は‘人間としての精神的な闘い’を描いた曲だと解釈しています。マイケルはあえて、表面的に戦争とも捉えられるイメージを作っていますが、本当のテーマは別のところにあります。そこに気付け。そういうことなのだと思います。
そしてこの後挿入される肉声を見ていくと、闘う対象として特に「人種差別」というものに重心を置いていると、私には思えます。

そのため限定的な意味合いを連想させる「兵士」とはせず、‘苦難の時代を耐え抜き、闘ってきた先人’という意味での「闘士」と訳しました。人種差別という観点でみると、「征服と自由」というのは「白人による奴隷支配からの自由・解放」という解釈になるかと思います。

また、この曲は宗教的価値観が土台となって作詞されています。「預言者」「約束の子」などという言語が出てきますね。「soldier」は「Christian soldier(キリスト教の伝道師)」といった使われ方もしたりしますから、そういった意味でもこの曲においては「兵士」とはしないのが最善だと判断しています。


さて1番のサビが終わった後、リング・アナウンスに煽られた観客の歓声とともに登場するのは、プロボクサーのモハメド・アリです。

02:17 `I'll be the greatest of all time'「俺は常に最強だ!!」


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モハメド・アリ(1942年1月17日~) はアメリカのプロボクサーで元世界ヘビー級チャンピオンですね。
「蝶のように舞い、蜂のように刺す!」は有名です。テレビ番組で、実際にマイケルと対面したこともあります。確かマイケルは「僕もあなたのように‘蝶のように舞い、蜂のように刺す’ことが出来るんでしょうか?」と本人に訊いていた気がします(笑)「俺は最強だ!」の言葉は自己宣伝のための戦略で、度々リング上で口にしていたそうです。

モハメド・アリは元の名をカシアス・マーセラス・クレイ・ジュニアといい、マイケルと同じアフリカ系のアメリカ人です。プロ・ボクサーだったというだけでなく、リングの外においても、人種差別と戦い続けた人物として知られています
ベトナム戦争への徴兵拒否や、マルコムXに影響を受けたイスラム教への改宗・改名などからアメリカ政府より圧力を受け、ライセンスを剥奪されるなど波乱の人生を送っています。白人、黒人含め多くのアンチも存在しました。現在も存命でパーキンソン病と闘っているようです。

そして続いて聞こえてくるのが、マルコムXの声です。

02:20 `By any means necessary'「いかなる手段をとろうとも」

マルコムX(1925年5月19日~ 1965年2月21日)は、アメリカの黒人公民権運動活動家です。
この後出てきますが同じく活動家であったマーティン・ルーサー・キング(キング牧師)非暴力、融和的思想を「白人寄りの偽善者だ」と批判し、攻撃的な思想を持つ黒人解放指導者として知られています。

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wikiによれば、マルコムXの父は白人に媚びることを嫌っていたためKKK(白人至上主義団体)の標的にされ、虐殺されたそうです。ところが明らかな殺人にも関わらず、警察は「自殺」と判断した。こういったことは、決して珍しいことではなかったのでしょう。

「『黒人を咬め』と犬をけしかけている人々(白人)が、暴力を振るっていると非難されることは、決してないのです。彼らが黒人を憎悪しているからといって非難されることは絶対にないのです。
でも黒人が我慢に我慢を重ねたあげく、怒りを爆発させると、『黒人は暴力的だ』と言われます。」


「今まで何度となく、犬が黒人の女性や子供たちに咬みついてきました。ここでいう‘犬’とは4本足の犬のことです。そしてそのたびに、2本足の犬の方は、何千人もの黒人を虐待してきました。
しかし指導者を自認する人物(キング牧師)は、妥協したり、自分たちを手荒く扱ってきた連中と取引するだけで満足しています。町でよい仕事を斡旋してもらうとか、そのたぐいのことと引き換えに、妥協しているのです。これは成功などではありません。裏切りです。」



「いかなる手段をとろうとも」という言葉はとても攻撃的に聞こえますが、実際には一度も暴力を行使したことはなかったそうで、この言葉の真意は「権利とは譲ってもらうものではなく、自分自身の手で勝ち取るものだ」という意味であったようです。

この部分、バックに聞こえてくるのは再び「星条旗よ、永遠なれ」です。

マイケルがキング牧師の思想に共感を持っていたことは明らかですが、しかし同時に、以前「Black Or White」(こちら)で話しましたが、非暴力による問題解決を訴えたマイケルの中にも、容易には抑えきれない「怒り」という感情があったとことを、あのショート・フィルムの「パンサー・バージョン」が教えてくれています。
いずれにしてもこの曲においては、人種差別撤廃のために生涯を捧げた人物を称えるという意味で、両人の名を挙げたということなのだろうと思いますが、どうでしょうか。

マルコムXは1965年(マイケル6歳の時)に暗殺されていますが、もし存命であれば90歳ですね。


そして、2番に移ります。

(ラップ)
Don't let no one get you down
Keep movin' on higher ground
Keep flying until
You are the king of the hill
No force of nature can break
Your will to self motivate
She say this face that you see
Is destined for history

何者にも屈するな。
歩み続けるのだ、更なる高みへと。
飛び続けるんだ。
丘の上で頂点を極めるまで。
いかなる自然の力も、
自らを駆り立てる、君の意志を砕くことはできない。
君の目に映るその顔は、
歴史に刻まれる運命なのだ。


2番のラップでは、こちらに向かって、実際の行動に移ることを呼びかけています。
「何にも屈せず、邪魔されることなく、目標を達成するまで意志を強く持て。その歴史は必ず刻まれるのだ」

ここだけ「she say」(彼女は告げる)という言葉が入っていますが、ここはおそらく宗教的感覚で捉えるべきところで、あえて言葉にするなら「女神」とかになるでしょう。「 liberty」(自由)という言葉が何度も出てきますので、もしかすると「自由の女神」からもじったのかもしれません。

「You are the king of the hill」の部分は直訳すると「君が丘の上でキングになるまで」という意味です。この後出てきますが、キング牧師は演説で何度も「自由の鐘を打ち鳴らそう、ニューハンプシャーの雄大な丘の上から」と繰り返しているので、こことの関連性を感じ無くもない。そうなると、曲の冒頭の鐘の音は、この「自由の鐘」の意味があるのかもしれません。

ところでなぜ「HIStory」にヒップホップを使ったのか、ということに関しては、私は曲の構想の早い段階からマイケルの頭にあったと考えています。この曲は黒人差別への対抗心が表れていますが、こういった曲の場合、マイケルの作風からすると歌詞だけでなくサウンド面でもその主張を表していると考えるのが自然です。
自身の ‘黒人’ としてのアイデンティティーを強く出すために、黒人がルーツであるヒップホップを使ったのでしょう。そして同時に、そのヒップホップクラシックをどうにかして一緒に組み込みたい、というのが ‘音楽家’ としてのマイケルが掲げた課題の一つだったはずです。

そしてあらかじめ意図していたことなのか、ラップの起源のひとつが、モハメド・アリマルコムXマーティン・ルーサー・キングが行っていた演説だと言われています。韻を踏んだり、言葉をリズミカルに区切って民衆に訴える語り口が、ラップの姿に変わったと言われているのです。
HIStory」においてこのスタイルを採用したことは、マイケルにとってとても重要なことだったと私には思えます。


(メロディー2)
How many people have to cry
The song of pain and grief across the land
And how many children have to die
Before we stand to lend a healing hand
Everybody sing

この地でどれだけの人々が、
苦悩と嘆きの歌を歌わなければならないのか?
そしてどれだけの子供たちが、死なねばならないのか?
僕らが立ち上がり、癒しの手を差し伸べるまでに。
皆よ、歌え



(コーラスA)
Every day create your history
Every path you take you're leaving your legacy
Every soldier dies in his glory
Every legend tells of conquest and liberty

日々の積み重ねが、君の歴史を作る。
どの道を進もうと、君はこの世に足跡を残していく。
どの闘士も、栄光のうちに死んでいく。
伝説はみな、征服と自由の歴史を今に伝える。



(コーラスB)
Every day create your history
Every page you turn you're writing your legacy
Every hero dreams of chivalry
Every child should sing together in harmony

日々の積み重ねが、君の歴史を作る。
ひとつページをめくるごとに、君は自分の足跡を刻んでいく。
ヒーローは皆、 騎士の道(※1)を夢見る。
全ての子(※2)は皆、声を合わせ調和を奏でよう。 



※1 「chivalry」という言葉ですが、日本でいう「武士道」などに近いようで、「弱きものを助ける精神」のような意味があるようです。
※2 ここでの「child」は、単純な「子供」の意味ではなく「神の子」という宗教的な使われ方をしています。キング牧師も演説で「神の子」といった表現を使っています。もしかすると、他の部分に出てくる「子供」という言葉も、この意味なのかもしれません。


All nations sing
Let's harmonize all around the world

すべての国よ、歌え。
この世界に調和の音を奏でよう!



03:40 `I have a dream.'

「私には夢がある」


03:55 `I am happy to join with you today in what will go down in history as the greatest demonstration of freedom in the history of our nation.'

「今日、自由へのもっとも偉大なデモ行進としてわが国の歴史に残ることになるこの集会に、こうやって参加出来ることを嬉しく思う。」



この二つの音声は1963年8月28日、リンカーンが奴隷解放宣言を出した100年後にワシントンで行われた行われた大規模デモでの、マーティン・ルーサー・キング(1929年1月15日~1968年4月4日)による有名な演説の肉声の一部です。マーティン・ルーサー・キングは聖職者でもあったため、「キング牧師」とも呼ばれます。この演説の中で「私には夢がある」という言葉を7回、「自由の鐘を打ち鳴らそう」という言葉を4回使いました。


Martin_Luther_King_-_March_on_Washington.jpg
マーティン・ルーサー・キング


「私には夢がある。いつの日か、ジョージアの赤い丘の上で、かつて奴隷だった者の子供たちと、かつて奴隷の主人だった者の子供たちが、兄弟として同じテーブルにつくという夢が。」

マルコムXの暗殺から3年後、1968年にやはり暗殺されていますが、存命であれば86歳です。


(メロディー3)
How many victims must there be
Slaughtered in vain across the land
(Lord, we need your assistance)
And how many children must we see
Before we learn to live as brothers
And create one family oh...

一体どれだけの犠牲者が、 
この地で無駄に虐殺されなければならないのか?
(神よ、あなたの手を貸して下さい)
そして、どれだけの子供が必要なのか?
僕らが、お互いを兄弟として生きることを学び、
一つの家族になるまでに。ああ・・・・・・



(コーラスA)
Every day create your history
Every path you take you're leaving your legacy
Every soldier dies in his glory
Every legend tells of conquest and liberty

日々の積み重ねが、君の歴史を作る。
どの道を進もうと、君はこの世に足跡を残していく。
どの闘士も、栄光のうちに死んでいく。
伝説はみな、征服と自由の歴史を今に伝える。



04:49 'September 1928' (ペニシリン=抗生物質の発見)

04:58 'July 17 1955' (ディズニーランド開園)


(コーラスB)
Every day create your history
Every page you turn you're writing your legacy
Every hero dreams of chivalry
Every child should sing together in harmony

日々の積み重ねが、君の歴史を作る。
ひとつページをめくるごとに、君は自分の足跡を刻んでいく。
ヒーローは皆、 騎士の道を夢見る。
全ての子は皆、声を合わせ調和を奏でよう。



05:04、マイケルがアドリブで「Race and Nation」(民族も国も)と歌った後、05:07に一つ日付のナレーションが入っていますが、ここは聞き取れませんでした。


(アドリブ)
All over the world, let's sing. Yeah, yeah.
Together. Together......

全世界よ、歌おう。そうさ、
一緒に、一緒に・・・・・・・



A soldier dies
A mother cries
The promised child
shines in a baby's eyes

All nations sing
Let's harmonize all around the world

ある闘士は死に、
ある母は嘆く。
赤ん坊の目には、
‘約束の子’の姿が輝く。

すべての国よ、歌え。
この世界に調和の音を奏でよう!



05:32 'And from the crew of Apollo 8, we close with good night, good luck, and God bless all of you, all of you on the good Earth.'

「アポロ8号の乗組員より、皆さん良い夜を。幸福がありますように。
そしてすべての皆さん、地球の皆さんに神のご加護を!!」



クライマックスの部分です。宇宙からの音声で「地球の皆さんに神のご加護を!!」といって曲を終わらせるなんて、なんともかっこいい演出ですね。
そしてラストにかけて、落ち着いた声で優しく歌うマイケルと、声を張り上げ呼びかけるアドリブとのコントラストがなんともドラマティックで、私が一番好きなところです。

「闘いに挑んだ者は倒れ、悲劇は繰り返されるが、それでもまだこの世界には希望がある」ということですね。
「この世に新しい命が生まれる限り、神は人類を見捨てていない」と。
マイケルが語っていた「子供の目を覗くと、そこには‘神’の姿が見えるんだ」という言葉とも連動しています。

(ちなみに、エンディングでマイケルと一緒に歌っている少女の声についてですが、これを「マイケルの声だ」と断言している方がいるようですが、間違いです。少女の名前もちゃんとクレジットされていますし、そもそも、マイケルが少女の声色を真似して歌うという意味がわかりません(泣)そんな無意味で馬鹿げたことを、マイケルがこんな大真面目なメッセージ・ソングでするわけありません。)


Let's harmonize all around the world
「この世界に調和の音を奏でよう」


この部分は、特にマイケルらしいですね。
「Will You Be There~2~」の記事の最後で紹介しましたが、マイケル自身この考えについて話していました。その一部がこちらです↓

「・・・・・僕はね、僕たちが住んでいるこの世界はとてつもなく巨大な‘交響楽団’なんだって、心の底から感じてる。すべての創造のはじまりの姿は‘音’だったって信じてるんだ。でたらめな音じゃないよ。‘音楽’だったんだ。」

キング牧師も、演説の中で同じような言葉を使っています↓

「・・・・・この信念があれば、我々はこの国の不協和音を、美しい兄弟愛の交響曲に変えることができる。」


さあそしてこの後、怒涛の数字の羅列が始まります・・・・・・・・。
(※順番はごちゃまぜですので、あしからず↓)

February 11, 1847 Thomas Edison is born
(1847年2月11日、トーマス・エジソン誕生)
April 9, 1865 The Civil War ends
(1865年4月9日、内戦終結)
December 30, 1865 Rudyard Kipling is born
(1865年12月30日、ラドヤード・キップリング誕生) 
October 28, 1886 The Statue of Liberty is dedicated
(1886年10月28日、自由の女神像寄贈)
May 29, 1917 John F. Kennedy is born
(1917年5月29日、ジョン・F・ケネディ誕生)
November 2, 1920 The first commercial radio station opens
(1920年11月2日、初の民間ラジオ局開局)
October 9, 1940 John Lennon is born
(1940年10月9日、ジョン・レノン誕生)
October 14, 1947 Chuck Yeager breaks the sound barrier
(1947年10月14日、チャック・イェーガー人類初の有人超音速飛行)
December 1, 1955 Rosa Parks refuses to give her bus seat to a white passenger
(1955年12月1日、ローザ・パークスが白人にバスで席を譲ることを拒否する)
July 17, 1955 Disneyland opens
(1955年7月17日、ディズニーランド開園)
January 17, 1942 Muhammad Ali is born as Cassius Clay
(1942年1月17日、モハメド・アリがカシアス・クレイとして誕生)
July 17, 1959” The death of Billie Holiday
(1959年6月17日、ビリー・ホリデイ死去)
January 15, 1929 Martin Luther King is born
(1929年1月15日、マーティン・ルーサー・キング誕生)
January 31, 1919 Jackie Robinson is born
(1919年1月31日、ジャッキー・ロビンソン誕生)
September 1928 The discovery of penicillin
(1928年9月、ペニシリンの発見)
April 12, 1981 The first Shuttle flight
(1981年4月12日、初のスペースシャトル飛行)
November 10, 1989 The Berlin Wall comes down
(1989年11月10日、ベルリンの壁崩壊)


すべてを聞き取れてはいませんが、これくらいで勘弁してください(笑)
最後に聞こえるのが「ベルリンの壁崩壊」ですね。

いくつか、特に興味を引くものがあります。

(1865年12月30日、ラドヤード・キップリング誕生)
ラドヤード・キップリングは、児童向け作品で知られる小説家、詩人です。1907年にノーベル文学賞を受賞しています。

(1955年12月1日、ローザ・パークスが白人にバスで席を譲ることを拒否する)
アメリカではバスなどに乗る時、前の座席は白人専用で、黒人は後部座席にしか乗ることが出来ず、しかも混雑した場合には白人に席を譲らなければいけない、という暗黙のルールがありました。しかしNAACPで活動していた少女が白人に席を譲ることを拒否したため、逮捕されてしまうのです。
この事件を機に自発的にボイコットの動きが生まれ、それが有名な「バス・ボイコット」となり、キング牧師の活躍が始まります。
これは、黒人が圧力に屈することなく行動を起こした歴史の1ページとして、マイケルが記しておきたかったのでしょう。(NAACP「全米黒人地位向上協会」については、以前「Black Or White」の記事で触れましたね。)

(1917年5月29日、ジョン・F・ケネディ誕生)
マイケルは生前、ジョン・F・ケネディの「国が国民のために何をしてくれるのかを考えるのではなく、国民が国のために何が出来るのかを考えるのだ」という言葉が「Man In The Mirror」に通じると話していました。

(1959年6月17日、ビリー・ホリデイ死去)
ビリー・ホリデイは、アメリカの黒人ジャス・シンガーですね。人種差別を歌った「奇妙な果実」は今でもカバーされ続けていますので、聴いたことがある方もいるでしょう。
波乱の人生を送り、麻薬やアルコール中毒、病気などに苦しみ44歳の若さで壮絶な死を迎えているため、マイケルはあえて「死去」した日を選んだのでしょう。

(1919年1月31日、ジャッキー・ロビンソン誕生)
ジャッキー・ロビンソンは、有色人種排除の方針が確立されていた当時のMLBにおいて、アフリカ系アメリカ人選手としてデビューし活躍した人物です。有色人種のメジャーリーグ参加の道を開きました。


そしてここで終わりかと思いきや、まだ声が聞こえてきますね。

06:11 `I am the Edison Phonograph..........'

`Edison Phonograph'というのは「エジソン式蓄音機」ですね。蓄音機は「音を録音し再生するという」というエジソンの3大発明の一つです。

06:13 ` Mary had a little lamb with fleece as white as snow, and everywhere that Mary went the lamb was sure to go

そしてその上に被さってくるこの音声。これはちょっと何なのか調べるのに苦労しました・・・。
これ、エジソンが蓄音機に向かって「メリーさんの羊」の歌詞を喋っているんですね。エジソンが、当時アメリカでもっともポピュラーな音楽なのでこれを選んだんだそうです。最古の音声は現存していないそうですが、これもかなり古い音声のようです。

「メリーさんは子羊を飼っていました その毛は白く、雪のよう
メリーさんが行くところにはどこにでも 羊は必ずついていきました」


250px-Thomas_Edison2.jpg
トーマス・エジソン

ところで、この顔↑どこかで見覚えありませんか・・・・?「DANGEROUS」アルバムのジャケットのおじさんってエジソンなんですかね?


06:20 `Some men see things as they are and say, Why?
I dream things that never were, and say, Why not?'


「多くの人は今の現状だけを見て、なぜ?とだけ言う。
私は存在しないことを夢見て、こう言おう。なぜそうならないのか?と。」


これは先ほど出てきた第35代アメリカ大統領ジョン・F・ケネディの実弟で、同政権の司法長官を務めたロバート・ケネディ(1925年11月20日~1968年6月6日)の言葉です。ケネディは公民権運動に好意的な政治家でした。私はこの曲を調べるまで知らなかったのですが、素晴らしい名言ですね。


200px-RFK_and_MLK_together.jpg
キング牧師とケネディ


‘1963年にアラバマ大学への二人の黒人学生の入学をめぐる問題では、アラバマ州知事ジョージ・ウォレスに対し、二人の入学を妨害しないよう電話で説得した。このときのやり取りはテレビでも放送されたが、あくまでも黒人学生の入学を阻止しようとするウォレスに対し、「それでもあなたはアメリカの市民か!」と怒鳴りつけた。’(wikiより)

1968年6月、マーティン・ルーサー・キング暗殺のわずか2か月後に、兄と同じく暗殺されました。


そして、いよいよ最後の音声です。

06:29 ` It's one small step for a man..... One..... giant leap for mankind.'

「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。」


これは有名ですね。人類が初めて月に降り立った時の、アポロ11号のニール・アームストロング船長の肉声で、「HIStory」は終了になります。


・・・・・ここで、気付きましたでしょうか?先ほど一旦音楽が終わった時に聞こえた音声も、宇宙からの肉声でしたね。そしてまた、宇宙からの音声です。

最初の音声はアポロ8号で、今の音声は11号です。

そもそも「アポロ計画」とは、冷戦下の米ソ宇宙開発競争のさなかの1961年に、当時のアメリカ大統領ジョン・F・ケネディ「1960年代中に人間を月に到達させる」と発表したものです。
8号は1968年12月に発射され、初めて月を周回し地球に戻って来た宇宙船です。そして月面着陸を果たした11号の発射は、そのわずか1年後の1969年の7月です。NASAですらその実現を疑ったという「1960年代中に」というケネディの目標は、達成されたのです。

宇宙開発、月面着陸というのは、人類が現在までに成し遂げた最も偉大な科学的偉業ですよね。
ここにおけるマイケルの真意とは何か・・・・・?
人類が急速に成し遂げてきた様々な技術分野における発展とは裏腹に、人としての根本的な心の豊かさ(平和)という面においては、まったく成長出来ていない。そういうことを言わんとしているのではないでしょうか?

「人類は飛行機を作り、医療も発達した。好きな場所に好きな音楽を持ち運ぶことが出来るし、月にだって行っている。
それなのになぜ人類は、いつまでたっても、皆同じ人間であり兄弟だということを学ばないのか?その愚かさを歴史が証明しているではないか・・・・・?」


そう、マイケルが訴えているように私には思えるのです。

「そして我々は、それに黙って耐えていたわけではない。その困難を乗り越えようと多くの先人が苦悩し、挑み、闘ってきた。」

その想いがすべて詰まって出来たのが、この「HIStory」という曲なのだと、私は解釈しています・・・・・・。


アルバム発表当時、マイケル・ジャクソンへのマスコミによるバッシングは、これ以上ないほど卑劣なものでした。その為、この「HIStory」という曲が「戦争肯定曲」だと一斉に批判を受け、「They Don't Care About us」も、「差別的用語が入っている」として「マイケルは人種差別主義者だ」というレッテルを貼られました。

ワールド・ツアーにおける「HIStory」の演出の中で、メインスクリーンに映し出される「Teaser」(ティーザー)は確かに衝撃的です。戦争映画の手法を取り入れたその映像は、マイケルがヒットラーを思わせる軍服を着た兵士を従え行進し、熱狂する民衆に手を振り、大きな銅像を建てるのです。夜の闇にサーチライトやヘリコプターが飛び交い、大げさなほどの演出です。マイケルの映像としては、非常に後味が悪いことは確かです。
「権力者」と、その支持をする民衆。マイケルが作り出したこの構図は、国が戦争に至る過程をそのまま描いているかのようです。

ここには重要なメッセージがあります。
かつて、国民から圧倒的な支持を得ていたというヒトラーは、望まれて権力者になったのです。でも結果、彼は国民をどこに導いたのか?そして一方の国民は、皆始めから自分の意思で、戦争へと向かっていったのか・・・・・・?
権力者と民衆の間にあるものとは、目に見えない「抑圧支配」なのです。強い意志が存在しない限り、その抑圧に気付き、逃れることはできない。そのことを、この「Teaser」は示しているのです。

そして、その想いは「HIStory」の中で言葉となって表現されています。

マイケル・ジャクソンの作品の中には、この「HIStory」のように一度表面的に読んだだけではわからないような、じっくり歌詞に向き合い、内面まで読み込むことを求める曲があります。
信仰心に厚く、読書を愛し、高い知性に裏付けされたその言葉には深みと個性があります。その為、読み手に与える印象も微妙に違うでしょう。歌の歌詞であればなおさらです。しかし、「soldier(兵士)」「glory(栄光)」などといった言葉を断片的に切り取り「戦争肯定」だと決めつけるのは、あまりに浅はかです。

「戦地で名誉の死を遂げろ」などということは何処にも書いてありません。むしろその反対で、そういった権力や圧力に押しつぶされることなく、「He」であり「You」である「個」としての意志を持って歴史を刻め、とこの「HIStory」は訴えているのです。
人を殺すためでなく、国の名誉のためでもない。自由と平和のために命を懸けろ、と。それこそが真の「soldier=闘士、戦士」であり、キング牧師であり、モハメド・アリであり、マルコムXであり、ケネディなのだ、と。

マイケルがキング牧師と同じく尊敬していたのが、ガンジーです。ガンジーの名言でこんなものがあります。

「私には人に命を捧げる覚悟がある。
しかし、人の命を奪う覚悟をさせる大義はどこにもない」


これがまさに、マイケルが言おうとしていたことなのだと思います。

そしてマイケルは、私たちに問いかけます。

「君たちはどう行動するのか?どんな道を選ぼうと、それが歴史に刻まれるのだ」
と。

これは、私たち一人ひとりにとってのHIStory」(彼の物語)でもあるのです・・・・・・・。


1958年8月29日 Michael Jackson 誕生


マイケル・ジャクソンと他のトップ・アーティストとの決定的な違いは、エンターテイナーとして頂点を極めながら、その栄光にあぐらをかくことなく、「平和のために尽くしたい」という少年時代の夢を失わずに自身の人生をも賭けたところにあります。

アフリカ系アメリカ人として生を受けたマイケルは、生まれ持ったその才能を早くから自覚し、それを同胞の権利と自由の為に使うことこそが、自分に与えられた使命であると、信じて疑わなかったのでしょう。

様々な批判や圧力に耐え、時に自分を奮起させ、逃げることなく信じる道に突き進んだその姿は、エンディングで高らかに歌い上げる力強いヴォーカルにそのまま表れているようです。
その声はマイケル・ジャクソンという人が刻んだ「歴史」そのものであり、この世界で確かに記憶され、語り継がれていくのでしょう。


「公平に扱ってもらえないでいると、人というものは、時に強く毅然となれるものです。
奴隷制度はおぞましい制度でしたが、アメリカの黒人がその抑圧的制度から逃れたとき、彼らは以前よりずっと逞しくなっていました。彼らは、自分の世界を支配している人間から精神的暴力を受けることがどういうことなのかを知っていたからこそ、二度とそんなことを繰り返さないように、と行動していたのです。
僕はそういう強さに憧れます。そうした力を持っている人間は、立ち上がって、信じることに血と魂を注ぎ込むことができるのです。」

1988年、マイケル・ジャクソン「MOONWALK」より抜粋


「僕は子どもの頃から、自分の中にはSOUL(魂)から湧き出る ‘愛’ があることに気付いていました。
黒人の伝統は、SOULの伝統です。‘愛と喜び’ という贈り物なのです。
SOULとは、分かち合うことができる最も貴重なものです。なぜならば、あなたの中のSOULという贈り物を、世界は今、かつてないほど必要としているのです。ゲットーに住むエイズで苦しむ子供たち、彼らはあなたを待っています。飢餓に苦しむアフリカの人々、そして癒しを求める多くの人々がいます。
あなたの中のSOULが純粋な ‘愛’ へと高められた時、僕と共に素晴らしい感覚を分かち合うことで、世界をもっと美しいものにすることができるのです。
この賞を、僕のインスピレーションであり ‘希望’ である世界中の子供たちに代わってお受けします。」


‘Soul Train Music Awards 1993’(ソウル・トレイン、アメリカの黒人音楽芸能賞)
1993年、マイケル・ジャクソン受賞スピーチ和訳


※参考 「アメリカ黒人の歴史」パップ・ンディアイ著 創元社

この記事へのコメント

  • ぽぽぴちゃん

    TITLE: お疲れさま
    SECRET: 1
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    この記事が書かれるのを楽しみに待っていました。そして日本時間ではあれど、マイケルさんのお誕生日にこの記事をいち早く読めたことを嬉しく思います。ヒストリーはあのように膨大なコンテンツとスケールですから聴き込めていません。それどころか他の華やかな曲に紛れ込んでしまっていました。しかし、ここまで聴きこんでも尚まだまだ聴きたい、そして分かりたいと思うアーティストは他に居るでしょうか。やはり、彼の存在はなくてはならなかったし、それをこの先もずっと考え続け、その中から小さくてもヒントを得て分かち合い生きていく。彼こそが音楽そのものであったのだなと思います。ありきたりだけどそう思います。
    ただ、今現在のこの有様を見たら彼は何といっただろうか?福島の汚染地域にずっと住み続けている私は毎日思います。どうしたらいいんだろう。声を上げるって・・・相当難しい事です。ですから、私はマイケルさんのあの勇気に感服するのです。

    マイケル・ジャクソン、誕生日おめでとう。
    テトさん、乙です!

    (まとまりなくてごめんなさいよ、眠いです(笑))
    2015年08月29日 02:58
  • TITLE:
    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    こんばんは!夜遅くにすみません。
    今日...と言っても日付が変わった今では昨日ですが、マイケルの誕生日ですね!
    私がマイケルファンになってから、はじめてのバースデーです♪
    あーあ、もし生きててもまだ50代で、全然若いのに。もしマイケルがインヴィンシブルの後にもアルバム出してたら、どんなのになってたんだろう。
    もっと大人の、哀愁感漂う作りになってたのかな。Break of dawn みたいなのがいっぱいあったりして 笑
    まあそれは冗談ですけど、改めて、今日は『世界は数少ない天使を失ったんだ』って再確認させられる日ですよね。
    私は歴史を作りたい!マイケルが夢見た平和な国を、私の世代で築き上げたい!
    Everyday create your history ♪
    2015年08月30日 00:27
  • テト

    TITLE: Re: タイトルなし
    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    こんばんわ。コメントありがとうございました♪
    マイケル・ジャクソンみたいな人は、もう出てこないんだろうな。と記事を書きながら私も思っていました。
    でも、自分の遺したメッセージがちゃんと伝わっていると知れば、きっと喜んでくれてるでしょうね。
    2015年08月30日 23:12
  • しー

    TITLE:
    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    今晩は。またお邪魔せずにはいられませんでした。
    ごめんなさい。
    覚悟はしていましたが、、、予想を遥かに超えたボリュームでした。(笑)
    でも、マイケルに餓えている私には、ありがたいのです。感謝します。
    私は、日の浅いファンで、現在、限られた遺作を、もったいぶってチマチマじっくり聴いている途中です。
    Invincibleに始まり、只今dangerousまで遡りました。
    が、この曲とchildhoodは、一回聴いて、その後は何となく封印しています。
    私にはまだ早いような気がして。
    こ、これはきっと上級者向けだ。。。私は、今は聴いてはいけない。みたいな直感かただの勘違いかが、私に命じました。(笑)
    (Will you be thereもそう感じますが、これはたまたま映画が若い頃のお気に入りで、馴染みがあったので聴きました。)
    が!もう、この記事読んじゃったから。(笑)
    長くて難解だったけど(笑)、頑張って読んじゃったから。
    手遅れだわ。もう、抑えられない!
    帰宅したら、聴きます。
    最後に、少し遅れたけど、マイケルさん、お誕生日おめでとう。
    あなたの、自らの人生に対するいつも真摯な姿勢は、あなたの作品を通して、私を随分勇気づけてくれました。ありがとう。
    そして、深い理解と愛に基づく解説で、マイケルの世界により深くいざなって下さったテトさんに大感謝です。
    では、お邪魔しました!
    2015年09月05日 21:45
  • テト

    TITLE: Re: タイトルなし
    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    しーさん、どうも♪♪
    そんな、謝らないでくださいー!私もファンの方とおしゃべりしたいので、いつでもウェルカムです。
    ちょうどログインしているところなので、早速お返事書かせていただいてマス♪
    「HIStory」、すっごい長い記事になっちゃいましたね(汗)
    でもマイケルが悪いんですよ。あんな難しい曲作るから!!

    最後のアルバムから遡って聴き進めてるんですね。
    いいですね~。音楽は逃げないですからね、しーさんのペースでゆっくり楽しんでくださいね。
    また、「HIStory」を聴いた感想聞かせてくださいね!
    2015年09月05日 22:39
  • けんじ

    お勧めいただきました「History」拝読いたしました。改めて、テトさんの、マイケル作品に対する深い理解や尊敬の念を感じました。あっぱれです!「History」はアルバムとしては、マイケル単独作も多く、多彩で好きなのですが、どの曲も例の事件(事件という言葉もふさわしくないような、ただのタカリ)後の「怒り」「憤り」「叫び」などで埋め尽くされているようで、正直、ちょっとしんどいなぁ~という気持ちもありました。「rockしようよ~」なんて曲、1曲もないですもんね。アルバム冒頭のマイケル第1声目が「ア``ア``~~(擬音)」ですもんね(苦笑)。しかし、どの曲もそんな個人的な「恨み節」なんかでは全くなかったんですね。マイケルが伝えたかったメッセージは、もっともっと深いところでの、人間社会全体に向けての「警鐘」であり「愛」だったのですね。世間からあれだけの「屈辱」を受けながらも、なおも深い愛を占めそうとするとは、どれだけUnbreakableなんだよマイケル。
    同アルバム収録の「little susie」は幼児虐待をテーマにした曲ですよね?レコード会社からは猛反対され、案の定批評家からも「気味が悪い」などと酷評されたこの曲を、それでも伝えなくてはならないメッセージとして批判覚悟で収録したマイケルの頑なな、言い方は悪いですが、頑固なまでの熱い思いに胸が熱くなります。「Lost children」も同じですね。
    以前、西寺郷太さんが、映画「this is it」で「Earth song」を歌うマイケルを見て、そういったメッセージソングは正直苦手だったのだけれど、ようやくマイケルの「本気」な気持ちが理解でき感動した。というような事をインタビューで語っておられました。マイケルの深すぎる「愛」。これから益々、理解され受け継がれていくことを願いたいですね。
    2016年09月23日 13:43
  • テト

    けんじさん、読んでくださってありがとうございました(*^^*)
    そうですね、HIStoryはマイケルファンにとってもかなり上級者向けの、異色アルバムですよね。
    でも内容をしっかり聴き込めば、マイケルは他のポップ・スターとは一線を画した存在であり、本正真正銘のアーティストであったということが感じられます。私は、little susieは、人々の「無関心」というものの恐ろしさに焦点を絞った曲だと思っていますが、その時点での批評家からの評価など、マイケルにはどうでもよかったのでしょうね。
    マイケルは、決して独りよがりではなく、後世に残すべき音楽を冷静に作っていたように思えます。
    それはけんじさんがおっしゃる通り、他人への深い愛情、ですよね。それがなかったら、あんな目に遭ってなお行動し続けることはできません。
    マイケルが若い頃、政治家が世界を変えられないのなら、僕がやる。と言っていたのは本気だったんですね。ほんとうに、unbreakableな人でした。


    2016年09月26日 11:57
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